3・11

俺、倉間。


今目に入るもの、南沢さん。


がれきに埋もれてる。


南沢さんは俺をかばって、くずれていった。

手しか、見えない。

なにが起こった?と、思った時、

津波だ!逃げろ!!」

茫然とする俺の手を引く霧野。

待て。 南沢さんを助けなくちゃ。

倉「はっ…はなせ!!南沢さん!!?」
霧「今は自分の命だ!」
倉「うるせえっ速く南沢さんを」
霧「南沢さんは死んだんだ!」


何言ってんの霧野?

南沢さん、生きてるぜ?
だって、目開けてるぜ?


高い、岡のようなところに避難。
みんなここで、ただ、流れて行く自分の家を見つめる。
泣き叫ぶ者
立ち崩れる者
輝きの無い目を持つ者

俺は2個目と3個目。

みなみさわさん
みなみさわさん
みなみさわさん
みなみさわさん

子供のように泣きじゃくる。
手がグッショリで、顔もべたべた。

速水が、背中をさする。
浜野は居ない。


なぜ生きてるんだ。
あのまま南沢さんと居たかった。
進む足を止めて、戻りたかった。

後悔が頭をよぎる。

モウいやだ。
こんな時、南沢さんが居れば。

恋人らしき、お互いが居ることを確かめ抱き合う奴を、
俺は醜い感情を寄せてしまった。









あれから1年。

俺はマスクをして、手袋をして雷門へ。
この街には放射能の雨が降る。
途中、みんなと合流、みんな同じ格好だ

あれからは大変だった。
体育館生活をしてる時、寝るときいつも南沢さんの事を思い出して泣いていた。声をだしてしまって「うるさいから黙れ」と言われたこともある。

速水も浜野が消えて、海で釣りしに行きました。と遺体を見て言っていた。

やっと一軒家を立てれて、普通に近い生活。
神童は、重大な財閥の息子のために、安全な所へ行かされた。
場所は霧野も分からない。


元気にしてくれるのは、サッカー、そして笑顔だった。

天馬はいつも笑っていた。
前はうぜぇと思っていたが、今は気持ちが軽くなる。
俺も笑うようになった。

元グランド場で、部活仲間とするサッカーは気持ちいい。
ただ、楽しめる。それが嬉しい。

元俺の家を見つけた後、
南沢さん家を探した。
両親の人は、笑って
篤志はここに居るのよ」



写真をもらった。数少ない南沢さんの写真。
なぜ俺にくれたのだろうかと思ったが、
なぜか抱きしめた。
そしたら涙がでて、止まらなくて、顔がくずれて崩れていった。



こんな思いをしてるのは、俺だけじゃない。
同じ感情を持っている人が居ると思う。

でも、だからこそ生きよう。
幸せな奴も不幸せな奴も、笑うんだ。
死から学ぶものは大きく、忘れにくいものだ。

南沢さん、見てますか?

俺、あんたの分も幸せに生きてやります。
辛い時も、幸せと思ってやる。
あんたを失った事も幸せさ。

紫外線が降る空を見上げて、にいと笑ってやった。


死設定すいません。
ありきたりですが、速く復興してほしいです。
笑顔は大切です。笑っていてください。
今日は、「震災の日」ではなく、
「生きてることに感謝する日」と思っています。